人によってさまざまな特徴を持つ腸内環境。その腸の状態により、必要な腸内細菌も異なってきます。自分の腸について正しく理解し、それに適した食生活を送ることで、腸内環境を整えていきましょう。

人によって異なる腸内細菌のタイプ

遺伝などの先天的要素や居住地・食生活などの後天的要素が関係し、腸内環境はつくられていきます。その腸内を分析すると、優勢な細菌種ごとに分類ができます。この分類はエンテロタイプと呼ばれ、バクテロイデスタイプ・プレボテラタイプ・ルミノコッカスタイプの3つの種類があります。

日本人の多くはルミノコッカスタイプに分類されるといわれています。納豆やキムチ、ヨーグルトなど、地域によって腸内環境に有用な発酵食品の種類も異なるため、その影響も受けてさまざまな腸内環境がつくられていくのです。

腸内細菌の種類によっては、その国や地域特有のものもあります。例えば、海藻類を分解するバクテロイデス・プレビウスは、日本人ならではの腸内細菌。

外国の人はこの腸内細菌を持たないため、のりなどの海藻類を消化できないのです。地域の食生活に適応するため、腸内環境が変化していくこともあるということです。

理想は1960年ごろの日本の食生活

昔ながらの日本食は善玉菌の働きを助ける食物繊維が豊富で、悪玉菌のエサとなる動物性脂肪・たんぱく質が少なく、腸内環境を整えるのに最適な食事とされてきました。

ところが、時代と共に日本人の食生活は変化し、この40年間で肉類の消費は約10倍にも増えたといわれています。

肉中心の食生活には高脂肪・高たんぱく質・低食物繊維など、腸内環境を悪化させる要素が揃っていると言っても過言ではありません。

現代の日本人の腸内環境は、食生活により以前よりも乱れやすい環境にあるといえます。

腸内環境が乱れていると感じたとき、まずはヨーグルトなどの乳製品を食べる、という方は多いでしょう。当然それらの乳製品も必要なのですが、偏って摂ると腸内環境の悪化につながることもあるのです。

それは昔から乳製品をたんぱく質として摂ってきた欧米人と違い、日本人は乳製品の分解酵素をあまり持っていないからです。乳製品の分解酵素が少ない人がヨーグルトやチーズばかり食べていると、分解されない乳成分が腸にたまって栄養の吸収を妨げることもあるため、注意が必要なのです。

それでは、日本人の腸内環境を整えるためには、どのような食事が適しているのでしょうか。それはかつての日本人の食事、つまり伝統的な和食です。食生活が変化する前、1960年頃の日本人の食生活が理想的といえるでしょう。

野菜や豆類などの食物繊維が豊富なだけでなく、味噌やしょうゆなどの発酵調味料、漬け物や納豆などの発酵食品には、日本人の腸内環境を整えるのに最も適した乳酸菌が含まれているのです。日本食中心の生活を送り、日本人の腸に合った乳酸菌を摂るように心がけていきましょう。